みなさんは厳冬の北海道、ときにはマイナス30度にもなる十勝でマンゴーが実ると聞いて、「本当?」と思う方が多いと思います。それもそのはずマンゴーは南国の果実で、日本では宮崎や沖縄など暖かい地方で栽培される果実だからです。でも、本当に、北海道の十勝で地熱や雪を利用し季節を逆転させた栽培方法をとることで、毎年11月下旬から完熟のマンゴーが収穫できるのです。 外は真冬ですが、温室内ではマンゴーが実る真夏の風景。や〜驚きです。
取材に訪れた2月11日は、すでに収穫時期を大幅に過ぎておりほとんどのマンゴーは出荷された後でした。それでも、まだまだ大きなマンゴーが実っていました。なんと室温は30度近くあり、少し作業をすると汗がポタポタ落ちます。
このマンゴーは大人の男性の手に余る大きさです。それにしても真っ赤ないろずきが、たまりませんね。冬でも快晴の日が連続する十勝の気候がもたらす恵みです。
こちらの方は、今から8年前に十勝の雪と地熱(十勝川温泉)を利用することで、国産高級果実の需要が最も高まる年末年始にマンゴーを出荷できるのでは?!と、誰もが驚く前人未踏の挑戦をした(株)ノラワークスジャパン代表取締役の中川裕之さんです。その誕生物語は,こちらのHPhttps://nora-works-jp.shop-pro.jp/に詳しく解説されておりますので、ぜひ訪れてみてください。
実はこの「白銀の太陽」、市場から高い支持を得、多くの引き合いがあるのですが、これまでの温室では年間2000個程度の出荷しかできませでした。そこで今回、市場の要望に応え今後7〜8年をかけ現在の11倍程度の生産量を目指し新たなスタートをきったのです。 写真は2月3日に、新たに新設された「雪氷冷熱・地中熱利用設備」「ハウス増築」の 内覧会及び落成式の模様です。当日は100名を越える方々が集まり、十勝の冬の農業に新たな時代が始まったことを感じさせる一日となりました。
これが新設された2棟のマンゴーハウス、温室内は30度近くあります。2月の外気温は日中でもマナス5度くらいで、早朝にはマイナス30度近くまで下がることもあます。
ハウスの中では、これまでの温室で栽培されていたマンゴーの木が剪定され、植え替えの作業をしてました。今回のハウスは黒色土なのでマンゴーが、これまで以上に美味しくなることが期待されます。
新しいハウス移動するマンゴー木は、これまでの温室で剪定され植え替えを待ちます。剪定では、大胆にもほとんどの枝が落とされ、これで大丈夫なのか?と心配になるほど丸裸です。画面右が剪定後で左奥が剪定前のマンゴーの木です。
コンクリート塀に囲まれたこの施設は、マンゴーの根を5〜6月にかけて冷やすために使われる28.000㌧の雪を貯蔵する巨大バンカーサイドです。冷房システムと使われる貯蔵庫では、現在のところ世界最大に大きさを誇ります。写り込んでいる人物からも判断できると思いますが、テニスコート2〜3面がスッポリはいりそうな大きさです。もし、この雪がなく冷房装置でマンゴーの根やハウス全体を冷やす場合、石油の使用量で換算すると91.8%もの節約になるそうです。雪の持つ熱量は相当なもので、まさに雪、様々です。
こちらはハウスの裏手にある温泉から地中熱を利用する設備です。とくに秋から冬にかけてマンゴーの木を暖かく保には欠かせません。温泉熱を利用することで、石油換算で31%ものエネルギー節約になるそうです。今後は、もっと温度の高い温泉熱の利用やソーラ発電での蓄熱も視野に入れ、さらなるエネルギー効率を高める予定といいます。
こちらは今期最後となる完熟マンゴーです。剪定で落とされて枝をかたづけるお手伝いをさせていただき、恐縮ながら頂戴してまいりました。なんと糖度が16.6%、重さは445グラムもあります。出荷されるマンゴーにはこのような測定結果が同梱されており、糖度に関しては20%を越えるものもあるそうで驚きです。 やはり気になるのは、そのお味ですが、まず言えるのは果肉のキメがとにかく細かく、果実の繊維を感じさせない滑らかな舌触りは、新食感と断言できるほどです。また同時に濃厚で豊富な果汁からは、爽やかで新鮮なマンゴーの香りが匂い立ち、鼻腔に抜ける香りは一気に南国気分にさせてくれます。
このような食感の誕生には、十勝の気候が秋から冬にかけて快晴率が高く完熟までの日照時間が、どの産地よりも多いのが関係していると推測されます。来年以降、徐々に生産量が増えますので、みなさんも、ぜひ一度、食していただければ幸いです。